優勝セールなんてもうやめれば? いつまで野球にしがみついてるの?

野球は旬の過ぎた見世物

僕がスーパーで働いている時、定期的にお客さんからこういう質問を受けます。

「○○(球団名)の優勝セールはまだやってないの?」

この手の質問は大抵高齢者から、さらに言えば優勝が決まった次の日あたりに飛び出します。

僕は野球には興味がありませんが、昔は野球を見る人が多かったから、優勝セールに商機を見る人は多く、翌日どころか即日セールをやる店舗もあったと聞きます。

ですが野球中継の視聴率やレジャーの多様化を鑑みれば、もう野球は国民的スポーツではないのは確定的に明らか。人々が興味を持つ対象、そのうちの一つでしかないんですよね。

僕はスポーツやエンタメに関しては疎い方ですが、それはつまり「興味がない人には届かない程度の影響力」しか持っていないということになります。

現在ではプロ野球の優勝セールは必ずしも利益につながらず、あったとしても小規模になりがちで、どんな年代のお客さんも呼び込めるチャンスというわけではない。セールを行うことで得られるメリット・デメリット、それに見合ったやり方がどのお店にもある時代なんですよ。

だから翌日には右を見ても左を見てもセールをやっているとは限りませんし、競合する店舗が少なければセールがあるかどうかもわからない。

さらに言えば、売り場の整理や値札の用意もしなくちゃいけませんし、そのためのコストだって無視はできませんからね。この辺は商売側の視点ではありますが、いずれ消費者もこの視点に立って店を選ぶことになると思います。

しかしそもそも僕はこういった優勝セールに限らず、そもそも「安売り」というシステムには大きな落とし穴があるんじゃないかと最近感じています。

「モノの需要」と「お店の需要」

どんなお店でもセールをやると人が集まるのはもちろんだと思いますが、ここで集まってくる人達が何を目的としているかと言えば「お目当てのものを安く買う」ことです。

これが滅多に流通していない限定品とか、ものすごく質の悪い訳あり品だったりしたらまた違う話になりますが、本来「普段来店しない人達が安い商品を目当てに来た」というのはお店にとって喜ばしいこととは限らないんですよ

安くないと来てくれないのであれば、その人達が必要としているのはモノであってお店ではありません。それはつまり、お店自体を必要としてくれる「顧客」にはなり得ないということでもあります。他に安いお店があればそちらへ流れてしまうのですから。

もちろん定期的に様々な企画を試み、気風のいい店だという印象を持ってもらえれば次につなげるチャンスを得られます。しかし、そういうプラスイメージを保ち続けるというのは隅から隅まで誠実な対応を心がけているお店、もっと言えばその「余裕」を持っている人がたくさんいる職場でしか出来ません。

それができない所はどうするかと言えば、情報操作やイメージ戦略を採用することになりますが、こちらも隙を見せずにやり遂げるのは情報化社会となった現代では至難の業でしょう。これはこれで費用がかかるわけですし。

だから良い所も悪い所も下限も上限もある「普通」のお店は、良い所をよく見てくれて、悪い所には目を瞑ってくれるような「相性の良いお客」と組まないと負担が大きくなるばかりなんですよ。全方位向けの商売は既に成り立たなくなっています、ホントに。

そろそろ風呂敷を畳もう

今はどんなお店も集客に必死です。お客さんがいなければどんな商売も立ち行かなくなるわけですから当然のことと言えます。

でも「商売を立ち行かせる」ことが商売の目的になっちゃあ駄目なんですよ。

「お客様の笑顔が私達の喜びです」なんてありふれた表現ですが、これこそが商売の原点とするべき指針です。喜びこそが商売をやる人間の原動力であり、喜びの存在しない商売なんて、人間の持つ限りあるエネルギーの無駄遣いでしかありません。そんな状況になったら看板を降ろすのが賢明です。

雨後の筍よろしく、過去の習慣に引っ張られないお店が出てくることを願ってやみません。

念の為言っておきますが「全てのお客様」なんて枕詞はつけてる店はノーセンキューですよ。合う合わないは人のサガ、そんなの不可能通り越して侮辱ですからね。あとブラック企業とかサービス残業は滅ぼしていきましょうね。喜びのよの字もないので!

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